越後のまち並み/小須戸(新潟市秋葉区)-1
■撮影:2010年3月14日15:00頃/新潟市秋葉区小須戸
小須戸のまちを訪ねた。
歩き始めて直ぐ、店の前にいた上品なおばあちゃんに「まあ〜、お茶でも飲んでいきなせ〜」ってお誘いを受けたのでお言葉に甘えて店の中へ。
分厚い小須戸町史も見せてもらいながら、以下ご夫人の解説です。
・小須戸は、長岡藩によってつくられた船運組織の指定河岸だった
・年貢米などの物資の集積地だった
・明治時代は新潟〜長岡間に蒸気船が就航していた
・明治31年に鉄道の信越本線が全線開通し、
自動車が普及し始めると次第に船運の役割は少なくなった
・明治34年に大火があり、民家のほとんどは焼けたので、
今残っている民家は大火以降のもの
小須戸の町家の特徴は、妻入りと平入りが混在、1階に雁木・格子・大戸(出入口の潜り戸付きの大きな戸)、2階の街道側の全面に硝子付雨戸と戸袋。
さて、町家の耐震性についてである。
小須戸の町家もそうだが、古い町家のほとんどは道路側に耐震要素が無く地震には弱い。
間口の広い町家であれば耐力壁を設けることもできるが、間口が2間半や3間程の町家も多く、そんな町家に耐力壁は設けにくい。
まちの歴史的景観を急変させることなく、町家の耐震性を上げる設計手法の確立が急務だ。
構造材の接合部を剛にして地震に対処する方法もあるけれど、そんなんじゃ面白くない!
大工の技能が活き汎用性のあるプロトタイプ的町家を考えたい!
方杖、格子、垂れ壁を耐力要素にするなんて考えられるのかな・・・。
町家が生き続けることは、まちに人が住み続けることに繋がり、そしてまちの文化を継承してゆく。
バス停前の雁木下に1つだけ置かれた椅子。
お茶を頂いたおばあちゃんが、バス待ちをする人のために自分でペンキを塗って置いたのだそうだ。
ここにも自分のまちを愛する人がいた。
なお、小須戸には「小須戸町並み景観まちづくり研究会」というものがある。
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