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2013年8月16日 (金)

越後・牛の角突き(新潟県小千谷市・小千谷闘牛場)

国の重要無形民族文化財に指定されている越後の「牛の角突き」。
越後の「牛の角突き」は長岡市の山古志地域と小千谷市で行われている。
お盆休みの昨日、闘牛好きの叔父と小千谷闘牛場へ。
名調子の本部席からの解説を聞きながらシャッターを切り続けた。

越後の「牛の角突き」には、「勝負付けをしない」という独自のルールがある。
その理由は次の通り。
(以下、パンフレットより)
1.家族のように育てた牛に、血を流すまで死闘させるのはかわいそうだ。
2.勝ち負けをつけると、牛が闘争心をなくして再び戦わなくなる。
3.牛の犠牲を少なくし長く保有する。
4.勝負付けしないことにより、賭博をせず奉納の意味を強める。
5.勝敗をつけることにより、仲間同士で感情を害し関係を悪くすることを避ける。
棚田の貴重な働き手だった牛への愛情と、暮らしの知恵から生まれたルールである。

■撮影:2013年5月15日/晴れ/新潟県小千谷市・小千谷闘牛場

「面綱(相撲の化粧回しに相当する頭部の飾り物)」を付けて土俵入り(入場)し「曳き回し」。
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2頭の土俵入り完了。
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土俵の中央で戦闘開始。ガツン!1トンの牛が激突。ど迫力!
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勢子(せこ)の「ヨシター、ヨシター」の掛け声が飛ぶ。
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それいけ!
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死にもの狂いで!
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越後の「牛の角突き」は両牛に「勝負付け」をしない。「引分」とするために両牛を引き離しにかかる。勢子がまずは後ろ足に「綱かけ」をする。
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「綱かけ」した後ろ足をたくさんの勢子で引っ張り牛の動きを止める。
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次に「鼻とり」が牛の鼻の穴に指を差し込んで牛の頭を上げる。鼻の穴は牛の急所である。
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俊敏に「鼻とり」。
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「鼻とり」された牛は今までの興奮が嘘のようにおとなしくなる。勢子の一連の動きは実にダイナミックで美しい。
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戦い終わった牛は退場前に土俵入りの時と同じく「面綱」等を付け直す。
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退場前の「曳き回し」。牛にも牛持ちにも万雷の拍手!
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退場する牛に夕方の斜光。勢子の背中も誇らしい。「ヨシター、ご祝儀でたぞ!」。
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伝統」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
いろいろなご説明に感謝です。
良く分かりました。
みな牛を大事にしているんですね。
迫力があります。

投稿: 自転車親父 | 2013年8月16日 (金) 22時13分

こんばんは。
小千谷の闘牛は1回だけ見に行ったことがあります。
今年の5月に亡くなった親戚のおじいちゃんが好きで
一緒に見に行ったことを思い出しました。
2006年11月5日だから 7年も経ったんだわ

勝ち負けをつけないことが良いわね
家族のように牛を大事にしてますよね
勢子の動きが又良いですよね

投稿: Suzu | 2013年8月16日 (金) 22時39分

imaiさん
こんばんは
小千谷の闘牛風景、迫力ありますね、以前山古志で見たことがあります、勢子さんも命がけなんですよね、牛が興奮して角で突かれでもしたらそれこそ大変ですね、
勝ち負けなしのル-ルはやっぱり牛とともに生きる営みによる愛情とと人と人との絆なんでしょうよね、
今でも牛の眼が可愛いのと涙が忘れられません。

投稿: 風太郎 | 2013年8月16日 (金) 23時08分

こんばんは。
お気持ち、郷土愛感じました。
お写真迫力ありますね。
牛も心ある動物…。
地域の方々のやさしい心遣いに感動しました。
誰しも故郷は他と比べることが出来ない最愛の心の拠り所。
新潟の風、ありがとうございます。

投稿: ロレンツォ69 | 2013年8月17日 (土) 03時52分

自転車親父さん

おはようございます。
ありがとうございます。
角突きと棚田が関係しているのだということを皆さんに知って頂きたくて長い記事になってしまいました。
読むのが大変ですよね〜。(笑)

投稿: imai | 2013年8月17日 (土) 08時27分

Suzuさん

おはようございます。
親戚のおじいちゃんとの思い出の場所ですか。
私の叔父は動物とか鳥とかの習性に詳しい人でして、その叔父が角突きの帰りに車の中で言いました。
「牛は優しい動物だから、角突きしている相手が致命傷を負わないように戦っているんだよ。相撲や柔道のスポーツと同じだ」って。
なるほどな〜って思いました。

投稿: imai | 2013年8月17日 (土) 08時35分

風太郎さん

おはようございます。
ありがとうございます。
牛の角突きもご覧になったことがあったのですね。
さすがは山古志通ですね。
牛の角突きを見ながら、こんな牛が棚田を耕していたんだななんて想像していました。
牛の目は本当に優しい目をしていますよね。

投稿: imai | 2013年8月17日 (土) 08時40分

ロレンツォ69さん

おはようございます。
「新潟の風」ですか、お届けできましたでしょうか。
嬉しいお言葉に感謝です。
この地方の牛は棚田を耕したり刈り取った稲を運んだりする大事な働き手だったのです。
昔の民家には必ず厩がくっ付いていて、夏でも冬でも家族と同じ屋根の下で暮らしていました。
牛は家族なんですね。

投稿: imai | 2013年8月17日 (土) 08時49分

こんばんは。
迫力のある写真ですね。TVでは観たことがありますがこんなにルールがあるのは知りませんでした。優しい人たちですね。このような人たちばかりならあらそいも起こらないでしょう。良い物を見せていただきました。

投稿: nobunagaE.T | 2013年8月17日 (土) 22時05分

nobunagaE.Tさん

おはようございます。
ありがとうございます。
日本全国で闘牛をしているところは数カ所ありますが、勝ち負けをつけないのは越後だけのようです。
牛は家族と同じですね。

投稿: imai | 2013年8月18日 (日) 07時27分

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